【まちづくりコラム】”安心な町”は”人間関係の豊かさ”である

     

人と人がつながりにくい現代社会

「地域の皆さんとの交流はありますか?」という聞かれて自信をもって手を挙げることができるでしょうか?

 

お隣とのご近所づきあい、マンションなどの集合住宅における横のつながり…思い起こしてみると、距離は近くても意外とつながっていないことに気が付かれるのではないでしょうか?

 

厚生労働省の『厚生労働省白書』の統計を見ると大都市におけるご近所づきあいに対して、「あまりしていない」「全くしていない」「わからない」の合計が1975年の統計から右肩上がりで上昇しており、2004年には約4割に到達しそうな勢いになっており、それから14年が経っていることから、おそらくこれが5割を超えていることは想像するのに難くないと思われます。

 

インターネットが普及されることにより、一昔前には地方から大都市に向けて一極集中から生まれたと思われる「遠くの親戚より近くの他人」という言葉がありましたが、現代ではおそらく遠くの親戚はおろか、「近くの他人よりネットで適度な距離感で連絡が取れる他人」「近くの他人より家の中の親族」というのが現代の風潮のように感じます。

 

しかしながら、両者にはそれぞれ弱点があります。

 

何かあったときに助け合える距離感の大切さ

たこ姫

例えば、鳥栖でもつい先日のような集中豪雨やこれからも台風がやってきますが、災害は突然やってきます。

 

夜なら基本的に皆さん自宅にいらっしゃいますが、お昼は若い世代は基本的に街中に働きに出ていて、鳥栖市のようなベットタウン化している住宅街には子どもとその母親、高齢者が中心となります。

 

そのようなときに災害が起きたとしたらどうなるでしょう?

 

インターネットでつながる人たちでは、情報は共有できても物理的な距離があるため支援しようとしても時間差が生まれます。

 

家族の場合はどうでしょうか?

 

家族も被災者となっている可能性が高く、それだけでは復旧が立ち行かないリスクが発生してしまいますね。

 

また、先日、鳥栖市の高校生たちが鳥栖市の未来を語り合うまちづくりカフェに参加した際に、高校生が次のように発言されているのが非常に印象的でした。

 

 

「鳥栖市では災害が発生して避難する際に、『食料と寝具を持参して避難してください』というのは、理屈は分かるけど現実的じゃない。例えば、高齢者の独居の方の場合はこれでいいのでしょうか?本当はもっと何か対策を考えないといけないと思う。」

 

高校生のこの問題提起に私たち大人はどう答える必要があるのでしょうか?

 

あなたなら何と答えますか?

 

 

災害時の助け合いから考える

そのような災害が起きたときまちづくりの視点からは、

 

「自助」⇒「近助」⇒「共助」⇒「公助」

 

という考え方があります。

 

自助…自らのことは自らで守る(当日~2日)

近助…ご近所同士で助け合う(当日~3日)

共助…地域単位や地域外ボランティアに助けてもらう(2日後~1週間程度)

公助…自衛隊や行政機関などの支援を受ける(最低3日程度~1か月程度)

 

後に載せた日数は「その組織が本格的に動き始めるまでに必要な時間」です。

 

先日、この鳥栖PLUSの編集長の中島も被災された近所のたこ姫さんの支援にいきました(鳥栖plus記事)が、

 

それが「近助」の助け合いになります。

 

 

また、先述の高校生の問いに対して、多くの大人が「それは行政の仕事だ」と言われそうな気がするので。

 

先にそれについても、非現実的だということを述べさせていただきます。

 

 

日本の基準と世界の基準(スフィア基準)

身近な事例の避難所を想像してみましょう。

 

避難所づくりにおける国土の狭い日本の基準と世界の基準(スフィア基準)は大きく異なります。

 

世界基準で考えると災害や紛争時の避難所について国際赤十字が提唱する最低基準(スフィア基準)は、次のように定めています。

 

・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する
・1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する
・最適な快適温度、換気と保護を提供する
・トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること

 

世界基準で考えると、一般的な小学校の体育館はミニバスケのコートが二つ程度なので…

 

25m×30mとすると、750㎡となりますので、これを3.5㎡で割ると…

 

約214人となりますが、これでは寿司詰め状態ですので、通路の確保を考えるとせいぜい200人入れば良い方です。

 

となると、公民館とか集会所の収容人数はせいぜい入って50名程度となります。

 

逆に、大きな地震が来て、鳥栖市の皆さんが被災したと考えましょう。

 

鳥栖市の人口は約7万人ですから、全員避難し、収容するとしたら…

 

70000(人)×3.5(㎡/人)=245,000(㎡)

 

の広さが必要となります。

 

これはベストアメニティスタジアムの約6.7個分の敷地面積が必要です。

 

そして、そこに収容する人たちのトイレや食事スペースなどを用意する必要があるということになるのです。

 

このように考えると普通規模の都市において、住民が避難所に全員逃げるというのは不可能だということが一目瞭然です。

 

日本においての防災とは「避難所に逃げる」というのは、最終手段。

 

ご近所の皆さんと助け合い、基本は自宅で生活することが前提の防災計画と言わざるを得ないのが現状なんです。

 

そして、これは防災だけに限る話ではなく公共サービス全般にいえることなんだと思います。

 

安心なまちは行政だけではなく住民主体でつくる

今回は災害の視点からまちを見てみましたが、いかがでしょうか?

 

安心で安全な町というのは本当に様々な人たちの「助け合い」が折り重なるようにしてできているものなのだと私は思っています。

 

“まち”は沢山の人の「手」が、「関りあい」が集まるほど魅力的なまちになります。

 

例えば、公園はいろんな人の手があり、遊ぶ子ども達がいるからきれいに整える人が生まれます。

 

逆に、人の手が入らなければ草が生え、荒れ放題になり、ゴミのポイ捨てが生まれます。

 

「人の手が入る」ことはそのまちを魅力的にするし、それが安心につながるというのはそういうことです。

 

手が入るとそこに「愛着」がうまれ、大切にしようとする人たちの輪が生まれます。

 

ぜひ、とすのまちを魅力的なまちにする輪にあなたも参加しませんか?

 

フレスポ鳥栖での居場所づくり(毎月第二火曜日)

 

まちづくりへの参加方法はいろいろありますが、まちづくりスポット鳥栖では毎月第2火曜日(8月のみ第三火曜日の8/21実施)に居場所づくり活動として「まちスポとすカフェ」をフレスポ鳥栖内にて実施しています。

 

フレスポ鳥栖は鳥栖市民の居場所ともいえる代表的な商業施設で、様々な市民がそこに訪れます。

 

そのような場所にいろんな人が交わる機会をつくることができるのではないか?

 

それによって、まちづくりに参画してもらえる人が増えるのではないか?

 

という想いをもって、まちスポとすカフェ内で健康相談交流スペースキッズスペースを提供しています。

 

来場者運営ボランティアの両方を随時募集しています。

 

運営ボランティアは来場者の皆さんの話し相手やキッズスペースでの子どもの遊び相手をしていただくことをお願いしています。

 

お気軽に下記までお問い合わせください、皆様のご来場、参加をお待ちしています。

 

 

イベント詳細・アクセス

イベント名 まちスポとすカフェ
開催日 8月21日(火)
開催時間 11:00~14:00
開催場所 フレスポ鳥栖 1Fウェルカムコート
お問い合わせ先

まちづくりスポット鳥栖

0942-80-0711

アクセス

 

 

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:鳥栖PLUS 編集部

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